鳥水木BOOKS 7 「屋根の上のサワン」

こんにちは、鳥飼(とりかい)店長です。

前回のブログ(→鳥水木BOOKS 6 「かもめのジョナサン」)の続きで、
第7回目の気になった本の紹介です。

torimizuki_books7sawan今回のご紹介は、井伏鱒二「屋根の上のサワン」です。
(井伏鱒二さんの作品では、ほかにも「珍品堂主人」がおすすめです。
そして、私にとって思い出深い「ドリトル先生」の翻訳もてがけています。
東京の吉祥寺には、井伏鱒二さんの詩が飾られているおいしいカレーの食べられる
喫茶店があります。セットで珈琲を頼んで・・。)
池のほとりで傷ついた雁(がん)を助け、傷の手当てをして共にすごし、
巣立っていくまでのとても短い物語です。
日本なのか、外国なのかわからない場所で、主人公は雁(がん)にサワンという
名前をつけます。
物語には次のような一節があります。
「私は足音を忍ばせながら傷ついた雁(がん)に近づいて、
それを両手で拾いあげました。そこでこの一羽の渡り鳥の羽毛や体の温かみは
私の両手に伝わり、この鳥の意外に重たい目方は、そのときの私の思い屈した心を
慰めてくれました。」
鳥にふれた時に感じる温かみは私にもわかります。
(鳥だけじゃなく生き物と接している人にはわかっているはずです。)
生き物の重みは、存在感とつながっていて、
もやもやしている頭の中の悩みから解放してくれることが私にもあります。
(最近では、日々我が家のニューカマーを抱いていて、ちょっと腰が痛いです。)
この物語は夢のように終わります。
雁(がん)のサワンのことを考えると、希望と少しの不安が残り、
サワンを助けた主人公のことを考えると、さびしさと悲しみと、あきらめの
ようなものが残ります。
もちろん、読んだ人それぞれに違ったことを感じると思います。
そんな幅の広い味わいがこの短編にはあって、
きっとあなたの大切な物語の一つになってくれると思います。
ぜひ、あなたの本棚に一冊。

てんちょ。

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